2009年01月05日

FRIT : ワンルームを変えよう!


Photo : Ishi Atelier  写真の無断転載・使用はご遠慮ください。) 



東京足立区のワンルームマンションです。
基本計画から始まって竣工まで9ヶ月かかりました。

J-2.jpg

この物件の場合は比較的小規模だったので、
ワンルームの規制はかかりませんでしたが、
木造三階建ての共同住宅なので
防火上、様々な制約がかかります。

こうした諸問題をクリアーしつついかに収益物件としての
役目を果たすか、とても難しいタイプの建物だと思います。


収益性を考えると、大胆すぎるデザインはしにくいです。
スタンダードな部分を外れてしまうと、
入居する人の範囲が限られてしまいます。
かといって普通すぎると、供給過剰気味の市場に対して
差別化を図ることができません。
また、時間が経過した後も空室が出にくいようにするためには
流行に左右されにくい建築にする必要がありました。

仕様を豪華にすると、建築費用が高くなりすぎて
収益物件としての価値が減少してしまいます。
家賃を高くすることでカバーできますが、
相場も考慮しないといけません。

個人のお客さんが老後に備えるために
建てるわけですからデザイン的な失敗はできないです。


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D-2.jpg

そこで、良くあるタイプのワンルームの構成要素を見直しました。

既に受け入れられている要素を使って
ワンルームをおもしろく改良できないだろうか・・・?

一人暮らしというライフスタイルの可能性を広げたり、
ワンルームに新しい快適さを作り出したいな、と考えました。



              ワンルームに良くある構成
                      ↓
ダイアグラム@-2.jpg
            玄関と水回りは大抵セットになって配置されています。



玄関は北側に配置されることが多くて
一年中暗いので、照明無しでは成り立ちません。

環境が居室と違いすぎるので、
「水回り+玄関」 と 「居室」は分断されています。


バルコニーはどうでしょうか?

物を干すとか、エアコンの室外機置き場、
あるいはゴミ置き場になっていませんか?
また、プライバシーが気になるので、
一日中レースのカーテンが閉められていることもあります。


どれも生活に欠かせない要素ですが、
居室内での生活とは切り離された存在になっています。
ある意味デッドスペースと化しています。


そこでデッドスペースになっている
玄関とバルコニーをくっつけてみたら・・・


思わぬ広がりが生まれることに気づきました

G-2.jpg
家に帰って玄関を開けると玄関とバルコニー、居室が
一体化した空間が広がります。

バルコニーにはエアコンの室外機は置きませんでした。

屋外コンセント、屋外水栓もつけましたので
広々といろいろな用途に使えるようになっています。


C-2.jpg
バルコニー側から見るとこんな感じです。


@-6.jpg
室内は伸びやかな広がりを獲得しました。
反対側から光も差し込んで、
光と風が通り抜ける空間となりました。


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F-2.jpg
反対側の住居です。
朝は奥の窓からしっかり光が入ります。
朝起きて顔を洗いに行くときは
太陽が差し込んでいます。


E-2.jpg
ちょうどお昼ぐらいの時間帯です。
北側の窓と、バルコニー側からの光と相まって、
日中は均質な柔らかい光に満ちた空間になります。

照明をつけなくても一日中明るいです。

北側の窓は目の高さぐらいに設定しました。
将来的に隣地に大きな建物が建ったとしても
室内で座っていればカーテンが無くても
プライバシーを確保できるように、と考えてのことです。

高いところにある窓というのは
効率よく室内に光を入れることができます。


H-2.jpg
昼すぎから夕方にかけて


平面図-2.jpg
このワンルームのもう一つのポイント
バルコニーを南向きに設定しなかったことです。


そうすることも可能だったのですが、ワンルームというのは
当然、独身者が住む確率が高いです。
昼間は仕事に出ているので、昼間は誰もいません。

ということはバルコニーを南向きにするのではなく、
朝と夕方に室内に光が入る方が喜ばれたりします。

(昼過ぎからはバルコニーに日が当たるようにしてあるので、
洗濯物は問題ありません。)



I-2.jpg
夜の外観です。

バルコニーが1.5m跳ねだしていますし、
敷地が道路に対して斜めなので、
鋭角のシルエットが生まれました。


K-2.jpg

夜になると、昼間とは違う空間の一体感が出てきます。

今回は予算の関係で無しになりましたが、
将来的なリフォーム時にウッドデッキを敷けば
バリアフリーの床として連続します。

入り隅のサッシというのはあんまり無いんですが、
うまく収まりました。

L-2.jpg

バルコニーの手摺りの内側の壁に光が当たって、
室内と外部が連続したような空間が生まれます。

手摺りを高めに設定してあるので、
比較的人目を気にせず、
季節の良い時期には本を読んだり、
お酒を飲んだりして、快適に過ごせると思います。

室内だけでなく、外部でも過ごせるとしたら、
今までのワンルームとは生活の質が変わってきますよね。

バルコニーには水栓も用意したので、
ちょっとしたガーデニングにも使えます。


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この建物は当社で
意匠デザインも、構造設計も両方行いました。

意匠も構造も同時にコントロールすることで
デザインの自由度が上がりましたし、
現場でも緻密な監理ができたように思います。

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この物件は駅から近いこともあって、
おかげさまで竣工前の不動産告知後、
あっという間に予約率300%を超える反響となりました。

比較的若い方達が入居されたようですが、
こういう提案が受け入れられて良かったなと思います。

posted by rio at 22:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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