2007年05月16日

新しいタイプの「原因と結果」(1)

近年私が感じている新しいタイプの「原因と結果」の関係について書こうと思います。



本題の前に「機能主義」について書かねばなりません。

機能主義というのは近代特有の概念ではなくて、古来からあるものです。
ちなみに、機能というのは「ものの働き」のことです。

「方法」や「手段」を使って「目的」を達成する、という普遍的な思考形式がありますが、方法というからには再現性が必要になってきます。そしてひとたび方法が確立すれば、誰がやっても同じように目的を達成できなければなりません。

目的は個人がそれぞれ持つものですが、似たような目的を持つことも多いわけです。そこで方法というものが大事になってきます。

そうなると、「どうやって新しい方法を構築するの?」という話になってきます。
当然そのためには、あらゆる対象がわかりやすい形になるまで分解される必要が出てきます。


例えば、おいしいリンゴを作りたい、という目的があるとします。
多くの人がこの目的に取り組んできたことでしょう。
でも、どうやっておいしいリンゴを作ろうか?と考える前に、
いろんなことを明らかにしないといけません。

・どういう要素に人はおいしいと感じるのか?
・リンゴの成分は何なのか?
・成分のバランスによって、どのように味が変わるのか?
・どういう育て方だとおいしくなるのか?
・最適な肥料や防虫剤は?
・伝統的なリンゴの育て方のどこに改良点があるか?

・・・など。
これらが少しずつ明らかになっていくと、リンゴをおいしくするための方法が
組み立てられます。誰もが使える方法になります。
認識できる要素から出発しないと、人間の頭は方法を組み立てられないのです。


対象全体を要素へと果てしなく分解し、それらの一つ一つの働きを元に全体を再構築させて、目的に到達する・・・これらは総じて機能主義だと思います。そして、我々の日常はこうした機能主義的思考に満ちています。建築やプロダクトデザインに限らず、機能主義的思考は今や社会システムやあらゆるジャンルに広がっています。

たとえば、健康番組とかで〜〜にはビタミンと繊維が豊富に含まれて、こういう作用(つまり機能)があって、体のこういう所にとてもいいんです。・・・・といった説明のしかたは機能主義的な説明なわけです。


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さて、ここからがおもしろい!
新しいタイプの「原因と結果」についてです。


5,6年前に聞いた話ですが・・・

「公衆便所が大変汚くて困ったそうです。
ある時男子便所の便器の真ん中にハエのプリントを貼ったそうです。
そしたらみんながハエを狙うように用をたすようになったので、
結果的にトイレが劇的にきれいになった・・・。」

・・・というのです。
どこの話なのか、事実としてあったのかさえわからないのですが、
これを「面白い工夫だね」とのんきに笑って済ませることはできません。
仮にこの話がフィクションだったとしても、
でまかせのアイディアと切り捨てることはできません。
従来の概念では捉えられない領域に踏み込んでいるからです。


私なりに想像を広げてみます。

例えばこれが駅のトイレの話だったとします。
トイレがあまりにも汚いとこんな発言が出てきそうです。

駅長:「こんなことではいけない。清掃費を上げて、頻繁に清掃するようにしよう。」

学校の先生:「トイレの使い方に限らず、こういった問題の根本は教育に
        原因があると思います。道徳や生活の授業で取り上げるべきです。」

広告会社の社員:「トイレだけじゃなくて、公共の物を大切に使ってもらえるように、
           みんなの意識を高めるポスターが必要でしょう。」

クリーニング会社:「単純に使用者が増えたんだよ。今までの洗剤だけじゃ、
            清潔さを保てないんじゃないか?ほら、汚れを分解する
            二酸化チタンコートってあるじゃない。」

デザイナー:「もっと便器のデザインとかトイレの空間全体を美しくすれば、
        それだけで使う人の気持ちが変わると思いませんか?
        きれいに使おうって思うでしょう?」

一般の人:「トイレを外国みたいに少額でもいいから有料にすれば
       良いんじゃないですか?
       管理人が常に居ればきれいに使ってもらえるかもね。」


・・・こんな声が聞こえてきそうです。
(違和感ないぐらい普通の意見として書いたつもりです。)
立場の違う人が、みな口々に原因を暗に想定し、
それに沿った解決方法を口にしています。

しかし、どの方法とも違うやり方でトイレがきれいになってしまった・・・。


ここに新しいタイプの原因と結果の兆候が見えています。
それは目的と方法の関係が変わることを意味します。


・・・いったい何が起きているのか?


次回も別の事例を挙げて、さらに分析します。

(この話にぴんと来ない方は、こういう例はどうでしょう?

例えば、最近子供がなぜ切れやすくなっているのか?という問いに様々な人が原因を挙げています。
・メディアの影響
・マンガやテレビの影響
・シックハウスや住環境問題
・教師の力量不足
・親の接し方、育て方

・・・あらゆることが言われています。

今回の話はある問題に対して、様々な仮説が立てられるけれど、実はもっと違う次元に答えがあるかもしれない、という話です。


新しいタイプの「原因と結果」(2) につづく)
posted by rio at 01:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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