2016年04月04日

パプアニューギニアと私たちの生活

パプアニューギニア(以下パプア)には行ったことがないし行きたいと思ったこともないが、不思議と興味を覚える。
最近でこそ近代化した立派な都市ができているようだけど、未だに黒魔術だの呪術師だのが力を持っていて、殺人が起こるそうだ。

例えば誰かがけがをしたり病気になると、呪術師にお伺いを立てる。
呪術師がAさんがその原因だ、と言うとAさんを殺すことが正当化される。
呪術師のお告げ(?)による殺人は刑が軽減される「黒魔術法」という法律が存在したが、2013年には廃止された。
でもお告げによる殺人は完全には無くならない。
・・・、というのも警官や裁判官の中にも黒魔術の信奉者がいるから。

ま、ここら辺はネットにもたくさん情報が転がっているから各自調べて欲しい。



さて、前置きはこの辺で、なぜずっと興味を持っていたかだけど、子供の頃に見たテレビ番組が忘れられないのだ。
それは日本人の高校生とパプアの高校生ぐらいの子と交換留学するというバラエティ番組だ。
で、パプアの子が東京に来て街中を歩いていると、突然パプアの子が立ち止まり、こう言った。

「・・・あの人たちは何の仕事をしているのですか?」

カメラさんもびっくりしたのか、視線の先を写そうとする。
それはフィットネスジムのランニングマシーンでもくもくと走っている人たちだった。

番組のバックで笑いの声が響いた。
未開な文明への嘲笑と、近代国家としての優越感が混ざったニュアンスが裏側にあったことと思う。

しかし、このパプアの子のエピソードは私達の文化に対して再考を促しているのではないか?



先ほどのランニングマシーンに限らず、他にも挙げればきりがない。

・窓を開けて換気しないで空気清浄機を掛けっぱなしにする。
PM2.5などの大気汚染が心配な家庭や、室内の空気の流通が乏しいマンション住まいなら必需品かもしれない。しかしパプアではまったくもって不要なガジェットだろう。

・早寝早起きすれば良いのに照明に頼って深夜まで起きている。で、電気代がかさむので、エコだ、節電だ、売電だと騒いで太陽光発電を設置する!?

・都心の利便性は享受したいが、自然にも親しみたいから、田舎や野山に遠出する。何時間も渋滞をかいくぐって出かけ、高価な装備でキャンプする。キャンプ用品の収納が必要だから広めの納戸が必要になり、いざ新築となれば、出来るだけ収納の沢山ある家を!となるわけだ。長期のローンを組んだ結果、毎日深夜まで働きながらリストラに戦々恐々・・・。ああ!なんてこと!

・狩猟を残酷だといいつつ、自分が肉を食べるのは平気。でも家に帰ったらモンスターハントのゲームをやるんだ。・・・おいおい。


パプアの子にはまったく理解できなことばかりだろう。



私達から見れば、パプアの文化体系では未だに呪術師という不合理な存在を内包している。
また、技術的にもずっと劣っているように見えるだろう。
だから彼らの行動や考え方は滑稽に映るかもしれない。

しかし逆に私達は効率化や合理化を推し進めた結果、多くの不合理を生み出しているようにも思える。
そこに疑念も持たず、本末転倒な環境に慣れきってしまっているのではないか?
私たちは発展の名の下に「生きる」という営み自体を不合理なものにしていまいか?

分かっていても、そうせざるを得ないことが山のようにあるのが私たちの文化体系なのだ。


パプアの子の発言を笑えるだろうか?




posted by Rio Kurosawa at 00:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 思考記録
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